【楽曲解説】12_ヨルガ

このアルバムの中で一番最初に原型ができあがっていた曲。ヨルガ、睡晶という、帝都を支えるエネルギー源といわれるこの鉱石、通常のエネルギー保存の法則を無視するほどの力を秘めた「睡晶」とは、一体何の結晶なのか。1曲目の「セカイは僕の睛の中の映画」が帝都の地上や風景を描いた表テーマだとすれば、この「ヨルガ」は地下、深い鉱脈と形而上的な何か、世界の裏面をあらわすグランドテーマと言えるでしょう。採掘後の地下坑路に水が滴るような深いリバーブとみとせのりこの声質をそのまま活かした硬質なヴォーカル、世界の深淵にまさしくスイショウのように響く曲です。(みとせ)

どんなプロジェクトにおいても、最初に作る曲というのはその後に作る曲の流れを決めてしまうことがあるので、とても気を使うものですが、今作はみとせさんの歌声という揺るぎない大きな存在がありましたので、まずは声を存分に生かしたメロディを、そして既に明確だった世界観の中で、ヨルガという鉱石に相応しい曲を、ということで、漠然と作り始めるのではなく、明確なイメージで作り始めることが出来ました。ピアノとハープによるアルペジオ(分散和音)とその残響音が、睡晶の鉱脈を映し出します。(弘田)