みとせといえばこういう賛美歌系のイメージをお持ちの方もおいでと思います、まさしくみとせのりこの薄造り(笑)みたいな曲です。歌詞にも賛美歌的な言い回しがぽつぽつ入ってはいるのですが、基本多神教の日本、かつ科学によってそれらの感覚が麻痺した現代人、或いは様々な挫折や不運によって信仰を叩き折られた者にとって、神というのは目に見えない何か大きな力、でしかないのだろうと思います。ただそれでもやはり人は祈る。いるとも知れぬ神に、誰とも知れぬ神に。裏切られても傷ついても、目の前で泣いている悲しんでいる傷ついている人がいれば、どうかこの世界に棲む者たちが安らかであるようにと、そう祈らずにはおられないのです。(みとせ)
「祈り」は、国家、特定の宗教、無宗教の価値観念に関わらず、人間の根源的な欲求に基づいた普遍的な行動です。古代から、また未来永劫、人類は様々な思いを祈り続ける事でしょう。そういう意味では、ヨルガ世界における「祈り」も、我々の住む世界の「祈り」も根源的には同質のものであるかと思います。この曲の仄暗く荘厳な和声と旋律を、みとせさんは見事なまでに美しく歌い上げて下さいました。冒頭の鐘の音はチベットシンバルによるものです。(弘田)