花街

帝都が唯一営業許可を与えている公娼街、郭街。周囲は幅3メートルの堀と高い塀とに囲まれて、出入り口の大門は一つしかない。この堀の中のみが帝都政府により「第八区」と規定されている。街には妓楼や茶屋が軒を連ね、帝都の中でも旧時代の色を濃く残しつつ最新のものが混在する、特異で華やかな場所である。夕暮れになると紅い睡晶スイショウ灯籠に一斉に灯りが点る。開門、開楼の鉦が響き、夜の始まりを告げる。

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